蓼科高原だより:その27(2003/09/12〜03/09/22)

地植えシクラメンのタネ
9月に入っても連日最高気温が34度ほどで真夏の太陽がジリジリ照りつける大阪を抜け出し,蓼科にやって来ました.さすがに高原では30度を超える気温にはなりません.留守中の最高気温は28度,最低気温は16度でした.庭ではゲンノショウコがたくさん咲いた跡がありました.まだ少し花の残っている株もありました.

地植えにしていたシクラメンを見ると,もう花は終わってタネが出来ていました.前回も1つタネは確認していたのですが,今回はもう1つのタネを確認しました.両方とも直径1センチ以上ある大きさにまで育っており,そのうちの1つを何気なく触っていると茎が抜けてしまいました.(^^;昨年はこうして採れた種をまき,山ほど子株が出来たのですが,今年はどうしようかと思っています.今まではチビ苗はもちろん,親株も霜が降りる前に掘り起こして大阪に連れ帰っていたのですが,一度実験的に地面に種まきして様子を見てみようかとも考えています.

写真:地植えシクラメンとそのタネ
地植えシクラメン タネ 茎が抜けた方のタネ

霧ヶ峰自然研究路
秋の霧ヶ峰を散策してみました.連休という事で結構な人出でしたが,駐車場に停まっている車の多さに比べ,自然の中を散策している人は極端に少ないように思えました.この自然研究路は今までにも何度か訪れた事があるのですが,今回は植物名の書かれた札が立てられていて参考になりました.ヨツバヒヨドリはかなり終わっている花の方が目立ちました.ノコンギクはたくさん咲いており,ところどころに点々と咲いているヤマラッキョウとアザミの仲間の鮮やかな濃いピンク色がひときわ目立っていました.

写真:左から ヨツバヒヨドリ,ノコンギク,ヤマラッキョウ,アザミの仲間
ヨツバヒヨドリ ノコンギク ヤマラッキョウ アザミの仲間

ホタルブクロはほぼ終わりで,名残の花がある程度,マツムシソウやサラシナショウマは散策路から離れた所(立入禁止区域)に多く,もっと近くに咲いていてくれたらなぁ,と思いました.ドライブ途中の道路脇の斜面にもマツムシソウはよく見られました.また,ところどころにハクサンフウロが薄ピンクの花を咲かせていました.

写真:左から ヤマホタルブクロ,マツムシソウ,サラシナショウマ,ハクサンフウロ
ヤマホタルブクロ マツムシソウ サラシナショウマ ハクサンフウロ

そして秋と言えば,何と言ってもヤマトリカブトです.この紫色の妖艶な花は散策路を行く人たちの目をひいていたようで,「あの紫の花,きれいねぇ」と言いながら通り過ぎていった人がおられました.毒草だけれど,確かにとても美しい花です.

写真:ヤマトリカブト
ヤマトリカブト ヤマトリカブト

メルヘン街道沿いの散策
地元の詳しい方に案内して頂いて,メルヘン街道沿いの散策をしていたら様々な植物や昆虫との出会いがありました.まず驚いたのは目を奪われるような鮮やかな蝶です.茶色地に白黒の目のような模様があり,その中にブルーの点々模様があります.まるでクジャクの羽みたい…という事でクジャクチョウと名付けられたんだろう,と納得してしまいます.そしてここでもヤマトリカブトを見かけました.

写真:クジャクチョウとヤマトリカブト
クジャクチョウ クジャクチョウ ヤマトリカブト

日当たりの良い岩のある所にコケモモが自生していました.コケモモの株は背が低いので目立ちません.それに周囲に背の高い植物が繁茂してくるとだんだん衰退するようで,昔に比べてずいぶん減ってしまった,というお話でした.遠目で見ると赤い部分がコケモモの実のように見えたのですが,近づいてみるとどうやら新芽が紅葉したもののようです.ちょっと開けた原っぱのような所ではネジバナが咲いていました.

写真:コケモモ,ネジバナ
コケモモ ネジバナ

場所を移動し,今度は標高1900mを超える所にやってきました.こちらにも昔コケモモの自生していた場所があるという事で訪れてみると,やはりここも植生が変化してしまったようで,コケモモの株はあるのですがずいぶん規模が縮小してしまったようで,チラホラあるのにとどまっていました.ここの岩場で先端が赤くなった不思議なものを見つけました.ミズゴケ風のものが白く干からびたようになったものがたくさん周囲にはありました.この赤いものは胞子か何かかもしれません.

写真:先端の赤くなった謎の物体
先端の赤い物体アップ 先端の赤い物体がたくさん

また場所を移動し,今度は柏木博物館から大滝神社付近の散策路です.路傍にあったハナイカリは何とも面白い花の形をしています.また,キイチゴの仲間が実をつけ,色づきかけていました.

写真:ハナイカリと花のアップ
ハナイカリ ハナイカリ・アップ キイチゴ

キク科の仲間もいろいろ咲いていましたが,特に純白のユウガギクはひときわ目立ちます.上を見上げるとヤマブドウの実がなっていましたが,色づくにはまだまだ…といったところでした.タラの木も自生しており,トゲトゲが痛そうだなぁと思いながら歩きました.見慣れない草があったので写真を撮って後で調べてみると,なんとその名は「ホソバガンクビソウ」という,妙な名前でした.ホソバは細葉なんでしょうけど,「ガンクビ」って….(~_~;)

写真:ユウガギク,ヤマブドウ,タラのトゲトゲ,ホソバガンクビソウ
ユウガギク ヤマブドウ タラのトゲトゲ ホソバガンクビソウ

途中で10数羽の蝶が舞っているところに遭遇しました.アゲハくらいの大きさで優雅に舞っています.舞っている姿はなかなか写真には撮れません.たまたま花にとまっている蝶を見つけてカメラにおさめました.アサギマダラかもしれないというお話でした.

写真:美しい蝶とそのアップ
美しい蝶 蝶のアップ

そして極め付きは道の真ん中に居たヘビです.遠くから見ているとジーッとして動かないので死んでいるのかなと思い近づいてみると,なんとお食事中だったのです.大きなカエルを丸飲みしようとしている所でした.写真中央がヘビの頭の部分で,カエルの手が見えています.がっしりとカエルを押さえ込んでいましたが,私が一歩近づくとカエルをくわえたまま,急に藪の中へと去って行きました.きっと驚いたのでしょうが,私の方も急発進したヘビにビックリしました.(@_@) ちなみに写真は12倍ズームのデジカメ(Panasonic FZ-1)使用なので,実際には距離は充分とっていたつもりなんですが,ヘビの警戒水準を超えてしまったようです.蝶やヤマブドウなど遠い被写体を撮る際に,このデジカメは威力を発揮してくれるので重宝していますが,まさかヘビまで撮るとは思いませんでした.(^^;

写真:お食事中のヘビ
お食事中のヘビ

帰る途中,ゴミシの実がなっていると教えてもらい,記念撮影しました.もっと実は赤く色づくようです.

写真:ゴミシと実のアップ
ゴミシ ゴミシの実

秋の木の実
ゴミシの他にも秋にはいろいろな木の実が見られます.
ツリバナの実には5つの割れ目があり,熟すと割れて中から真っ赤な実が出てきます.散歩している時にこの赤い色と面白い形に目を奪われました.そしておなじみの「栗」.時々アスファルトの道路上に落ちています.今落ちているのは小さなものが多く,イガを割っても中身はペッタンコの栗だったりします.上を見上げると…まだこれからだな,といった感じです.

写真:左から ツリバナ,樹上の栗,落ちた栗
ツリバナ 樹上の栗 道路に落ちた栗

日当たりの良い場所では,イチイの実が真っ赤に色づき中の黒い種が見えていました.ウチにもイチイの木があるのですが,雑木林の中なのでここまで赤く色づいているのは少ないです.

写真:イチイ


また,妙なものを見つけました.いびつな形をした実が3つくっついてなっているのです.調べても何か分からなかったのですが,たまたま書店で「野や庭の昆虫」(中山周平著,小学館)を購入してパラパラとページをめくっていたら,そっくりなものがありました.どうやらこれは実ではなく「虫こぶ」のようです.ヌルデミミフシという虫がヌルデに寄生しているそうです.この植物がヌルデだと確信したのは,葉の間の軸にはヒレ(写真中央・赤い矢印)があったからです.虫こぶの中にはアブラムシがいるそうで,これを乾燥した物は「五倍子」と言われタンニンの含有量が多く昔から染料として使われていたようです.

写真:左から ヌルデ,ヌルデミミフシに寄生されたヌルデの虫こぶ
ヌルデ ヌルデの葉 ヌルデの虫こぶ

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