蓼科高原だより:その49(2006/08/06〜06/08/21)

近所の植物たち
連日34度を超える最高気温の大阪から蓼科へやって来ました.初日の最高気温は28度,夕方散歩に出かける時に温度計を見ると25度まで気温が下がっていたので,この時点で既に大阪の最低気温より低いのか…と妙に感心してしまいました.気温の高い所から涼しい所へ来た場合,からだはすぐに順応して「気持ち良いなぁ」と思いますが,逆の場合は結構こたえます.今度大阪に戻る時が恐怖です.

さて,朝8時半前後の気温は18度ほど,半袖で歩いているとかなり涼しく感じます.台風が接近していることもあり,空気には湿気のニオイが含まれています.昼過ぎには雨が降ってきそうな空です.

散歩コースでは,ウバユリの様々なシーンに出会いました.まだつぼみのもの,ちょうど咲いているもの,そして咲き終わったもの….日当たりなどのちょっとした環境の違いでいろんな過程が楽しめてラッキーでした.(^^) ウバユリは幼いツボミの時や花が終わった後は上を向いているのに,開花中は茎に対して直角に咲くのが興味深いです.

写真:ウバユリ;左からツボミ,開花し始め,満開,終わった花
   

また,ヤマユリが咲いている奥にウバユリが咲いている,という面白い光景にも出会いました.

写真:ヤマユリ(手前)とウバユリ(奥に咲いている背の高い植物)


朝早く散歩すると,マツヨイグサがまだ咲いています.昼間にはしぼんでしまうので,早起きするとちょっとトクした気分です.(^o^) お盆の頃に咲くと言われるミソハギも咲いていました.また,そろそろ秋だな…と思わせるハギの花もポツリポツリと開花を始めていました.

写真:マツヨイグサ,ミソハギ,ハギ
  

庭の植物たち
庭ではちょうどカワラナデシコが咲いていました.毎年咲いてくれるのですが,年々株を大きくしています.背が高いので倒れるようにして咲いていました.(^^;

写真:カワラナデシコ
 

鉢植えを地面に置いていたら,根が張ってすっかり鉢が持ち上げられなくなってしまったワイルドストロベリー.白い可憐な花を咲かせていましたが,1つ実がなっていました.味見したら甘酸っぱくて美味しかったです.今年はブルーベリーが不作で,ほとんど花が咲かないなぁと思っていましたが,当然実なりも少なく貴重な実を写真におさめました.これまた大きな鉢植えのまま地面に置いてあるラズベリーですが,こちらはなかなか実にお目にかかれません.花も少なく,雑木林の中では日照不足なのかな,なんて思っています.出来た実もいまいちキレイではありません.(-_-;)

写真:左から ワイルドストロベリー,ブルーベリー,ラズベリー
  

迷いヒナ
散歩していたら,野鳥のヒナ(何の幼鳥かなぁ,ムシクイの仲間かな?)に出会いました.アスファルト道路をヒョコヒョコと歩いているのです.巣から落ちたのか,親とはぐれたのか….最初は遠くからズームを使って撮っていたのですが,そっと近づいても逃げる気配がありません.ついに1m程の距離まで近づきましたが,やはりじっとこちらを見ているだけで逃げようとしません.おかげでカメラ目線の面白い写真が撮れましたが,この子の行く末が案じられます.厳しい自然界では弱肉強食,どこかでこの瞬間にも狙っている動物や鳥が居るかもしれず,そうなるとその辺をチョロチョロしていたら餌食になってしまうのも時間の問題かもしれません.早く親が見つけてくれると良いのだけど…と思いつつ,その場を去ったのでした.

写真:迷いヒナ
  

原村自然文化園
行楽地はどこも人でいっぱいで,特に涼しい山の上へ向かう車は数珠繋ぎになっているこのシーズン,朝から原村自然文化園へ行ってみました.ここには八ヶ岳実践農業大学との間を結ぶ雑木林内に散策出来るコースがあり,暑い時に運動不足を解消するにはうってつけです.

雑木林の中でギボウシが咲いていました.ちょうど八ヶ岳農場への看板の下だったので,これって「看板娘」みたい?(^o^) ギボウシは湿ったやや暗い所に咲いていましたが,明るい所にはウツボグサやイヌゴマが咲いており,キスゲやゲンノショウコも見られました.

写真:左から ギボウシとそのアップ,ウツボグサ,イヌゴマ
   

ゲンノショウコはアップで見ると立派に見えますが,花の直径は1センチちょっとくらいの小さな花です.でも白いので目立ちます.赤花もあるようですが,こちらで見られるのは白花ばかりです.キスゲは遠くに咲いていたのでズーム撮影しました.

写真:左から ゲンノショウコ,キスゲ
 

またオオハンゴンソウの大群落もあり,クサフジがこれらに絡みつつのたうっていました.オオハンゴンソウの群落は年々大きくなっているような気がします.

写真:左から オオハンゴンソウのアップと群落,クサフジのアップ
  

自然文化園ではネジバナに会えるかな?と期待していましたが,それはかなわず残念でしたが,湿原散策コースが新しく整備されていました.

散策路の周囲には,クルマユリ,サワギキョウ,アザミの仲間やギボウシなどが咲いており,中に真っ赤な花色で目立っているものがありました.後で調べてみると,これは「エンビセンノウ」と判明.この花を見たのは初めてです.

写真:左から クルマユリ,サワギキョウ,アザミの仲間
  

写真:エンビセンノウ


八ヶ岳薬用植物園
今回も恒例の八ヶ岳薬用植物園へ行ってきました.比較的朝早い時間帯だったのでほとんど人出が無く静かでしたが,10時半をまわる頃に家族連れが数組やって来て,奇声を発して騒ぎ回る子供らに静けさは破られ,サッサと帰ってきました.

園内ではキキョウやジギタリス,ブッドレアなどたくさんの花が咲いていましたが,既に終わった花もありました.ラムズイヤーはほぼ花が終わり,枯れた花穂がずらりと並んでいました.

写真:左から キキョウ,ジギタリス,ブッドレア
  

フェンネルは大株で見上げる程です.ヤブカンゾウのオレンジ花は遠くにあってもグリーンの中でとてもよく目立っています.

写真:左から 大株のフェンネル,ツリガネニンジン,ヤブカンゾウ
  

驚いたのはネムの花が咲いていた,ということ.大阪ではずっと前に咲いていてとっくに花は終わっているのに,こちらではまだ咲いているんだなぁ〜と感心しました.

写真:ネムノキ,カリンの実,コガネバナ
  

ナナカマドを見上げると,秋の気配が….所々で紅葉が始まっていました.秋には真っ赤に色づいて,私たちの目を楽しませてくれることでしょう.

写真:ナナカマドの紅葉スタート
 
横谷渓谷散策
横谷温泉旅館の裏手からスタートして,王滝まで約2キロの距離を歩いてみました.ここはちゃんと遊歩道(砂利道だったり舗装されていたり)が整備されています.時折急坂になり息を切らせる事になりますが,山の中で森林浴しながら汗をかくのは気持ち良いものです.

そこで出会った花たちを紹介します.ピンクのツリフネソウは遊歩道脇のあちこちで見られました.暗い山道だったのでフラッシュ撮影になっています.キキョウみたいな花が倒れて咲いているのを発見,後で調べたところこれは「ソバナ」でした.淡い紫色が涼しげです.ヤマハハコのツボミも発見,これは茎が粉をふいたみたいに白っぽいのが特徴です.また,オレンジの花がポツリポツリと咲いていましたが,これはフシグロセンノウ.山の中ではこの色はとても目立ちます.

写真:ツリフネソウ,ソバナ,ヤマハハコ,フシグロセンノウ
   

ほんの1つだけホタルブクロが咲いていました.いかにもシソ科の花,といった風情のカワミドリの花穂にはハチやチョウが訪れていました.カワミドリの葉はハッカのような良い香りがするそうで,今度見かけたら葉に触ってみなくては,と思っています.オクモミジハグマは白い花弁がヒラヒラと面白い具合にねじれており,葉はモミジの形に似ています.

写真:ホタルブクロ,カワミドリ,オクモミジハグマの全体像と花のアップ
   

また,赤い実があちこちで見られました.葉はどう見てもイチゴの仲間.中には赤を通り越して黒く色づいているものがあったので,これってブラックベリーかな,と思っています.

写真:キイチゴの仲間
 
富士見高原ゆりの里
富士見高原スキー場に植えられた500万個のユリの球根…いったいどんな規模なんだろう?と見に行ってみました.実はここ,昨年も行った事があるんですが,入場料1000円をケチって(^^; 敷地の外からユリを眺めただけだったのでした.今日は意を決して入場料を払い(そんなたいそうなモンでもないけど),園内を散策する事にしました.

「ユリの見頃は7月中旬から8月下旬」と入場時にもらった散策マップに書いてありましたが,そろそろ8月下旬に突入し,そろそろ終わったユリもそこかしこにあって最盛期は過ぎた感じでした.それでも白,ピンク,オレンジ,黄色と咲いているユリの数には圧倒されました.

園内には3つのユリ・エリアがあり,それぞれ「展望ゆり園」「ロマンスゆり園」「白樺ゆり園」と名前がついています.まずはスキー場の初心者コースと思われる緩斜面にある「ロマンスユリ園」を散策です.ここは標高1200m,吹く風は涼しいですが,飛ばされそうになる帽子を押さえながら(^^;直射日光に当たりながら歩いているとやはり暑いです.

立ち入り禁止の柵内におじさんが一人…「ん,こんな所にも心ない観光客が?」と思いきや,大きなハサミを持った彼は,花の終わったユリをカットする作業中なのでした.もっと一目で見てスタッフと分かる格好をしておけばいいのにねぇ〜(~_~;),なんて思ったのでした.

写真:様々なユリたち
 

  

 

ついでなので,リフト(往復500円)に乗り「展望ゆり園」にも行ってみることにしました.まさにスキー場のリフトそのもの.たまにリフトが止まるので「なんで?」と思っていたら,どうやらお年寄りが流れに乗ってリフトに乗るのが難しい場合,いったんリフトを止めてイスに座ってもらう段取りになっているようでした.これは安全第一なので仕方無いでしょうね.

リフトに乗っている際,足元にもここかしこにユリが植えられています.ユリに混じってキキョウが咲いていたり,土手にはヤマアジサイやハギが咲いていたりするのもご愛敬です.展望ゆり園は標高1470mで,リフトを降りて眼下を眺めると急斜面なのが分かります.

写真:展望ゆり園から眼下を見下ろす & 見上げた時の光景
 

標高が高い方がまだ花は終わっていないだろう…と期待したのですが,さして下界とは異なっておらず,終わった花も結構ありました.そのかわりツボミもわりとありました.色とりどりのユリですが,名札は全然無くて残念ながら品種名はさっぱり分かりません.さすがに純白大輪のカサブランカだけは良く分かりましたが.

写真:カサブランカ
 

写真:展望ユリ園のユリたち
 

 

 

このユリ園から少し外れた所に「富士見高原創造の森」という看板があり,散策路沿いに様々な作品が点在していました.写真は「ウサギおやじが発芽した種に出会った」という図,だそうです.

写真:看板と一作品
 

この散策路を歩いている時,アザミやフウロソウの仲間,それにキキョウに出会いました.

写真:アザミ仲間,フウロソウ仲間,キキョウ
  

ユリ園から創造の森へ行く途中,物騒なものがありました.それは電気柵.何でも鹿よけの電気柵だそうで,昼間は通電していないそうです.夜には通電しておかないと,鹿がユリの球根を食べてしまうのかな.

写真:電気柵とその看板,電気柵からユリ園を覗く
  

今回は時間が無くて行けなかった「白樺ゆり園」,次の機会(来年か)があれば行ってみたいと思っています.

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