蓼科高原だより:その88(2011/10/01〜10/26)

秋の庭・トロパエオルムの様子(10/01)
留守中の最低気温は4度,最高気温は28度.ずいぶん冷えた朝があったようだ.今年は気温の乱高下が激しく,人も大変だが植物にもストレスが多いことと思う.

庭では前回咲き始めていたアコニタム仲間の開花が二箇所で進んでいた.

写真:アコニタム仲間
 

前回滞在中に発芽したイモをポット上げした株はどれも無事でホッと一安心.そして前回発芽したsessilifoliumも無事だった.危惧していたmoritzianumは案の定葉の色が抜け瀕死の状態だったので室内栽培に切替.

写真:sessilifolium,moritzianum
 

tuberosumは大鉢と中鉢の2鉢があるが,いずれも花芽無し.今シーズンも花を見ることが出来なかった.日照不足か,株の体力不足か.
前回植え変えたbrachycerasは茎をどんどん伸ばし,葉も展開してトロパエオルムらしい姿になっている.

写真:tuberosum2鉢,brachyceras
  

オオムラサキセンター〜日野春ハーブガーデン(10/04)
ここ数日朝の最低気温はヒトケタ台.しかも良い天気だと朝は冷えて3度,4度で寒い.既に暖房を入れている.昨年二重窓にしたおかげで灯油の減りが少なく助かる.鍋物の季節で白菜などの野菜が高いのは困るけど.一方最高気温は17度,18度と上がるので一日の気温差が激しい.こまめに衣類で調節しないと風邪を引いてしまいそう.

快晴の空に誘われて日野春ハーブガーデンへと向かう..途中,オオムラサキセンターに立ち寄ると無料開館日だったのでついでに中を覗いてきた.ここは国蝶のオオムラサキを飼育して温室内で見られるようにしている施設.こんなシーズンなのでもはや温室内でもチョウは飛んでいない.天井の高い巨大温室内には樹木が茂り,歩道があるがあちこち蜘蛛の巣が張っていてちょっと入り組んだところは要注意.一角でヒガンバナが咲き,シュウメイギクも咲いていたが,特にめぼしいものは無し.展示室の展示もお子様向け.おまけに節電(もう終わったんじゃないの?)のためか館内が暗くてよく見えなかった.無料なので良かったが,有料だったら「え,何も無いのにこれでお金とるの?」と聞いてしまいそう.(^^;

写真:温室内のハギ,ハギのアップ,ヒガンバナ
  

オオムラサキセンターで嬉しかったのはキンモクセイの香りが楽しめたこと.よく見ると花は開花したての状態でまだつぼみも多い.この時期が一番香りが強いようで,香りを胸一杯に吸い込んで楽しんで来た.ここは標高600mちょっとでキンモクセイは耐寒性がやや弱いため,1000m以上の高原には無い.シーズンなのに香りが楽しめなくて残念,と思っていただけにラッキーだった.

写真:キンモクセイ


その後日野春ハーブガーデンへ.温室内の苗すべて20%引きの葉書を頂いていたので,のんびり温室内を物色.日中気温が上がり温室内は暑いくらいだった.耐寒実験しようとたくさん苗を購入したらオマケ苗を3つ(葉書持参で1つ)選べることになり,ここでもラッキーだった.(^^)

写真:温室前の光景,コルチカム満開,温室内のチェリーセージも満開
  

原村鉢花温室と自然文化園(10/06)
そろそろパンジーやビオラの苗が出てるかなと思い,原村実践農場の鉢花温室を覗きに行った.今季も新色と書かれた苗があったが「え,どこが違うの?」と思うほど画期的な違いは無い.スタッフの方に聞くと「今年の新種は従来のより少し○○色がかっている」とか,ほんの少しの違いのようだ.

実践農業大学校では毎年3万株もの苗を学生が育苗し,JAなどへ卸すらしい.そうなると花色もカタログ通りの規格品が重要視される.たまに出現する突拍子もないレア物は市場には出回らないようで,そういう変わり物はどうするんだろう?と思う.「交配により出来た面白い花色.二度と同じものにお目にかかれるとは限りません」とキャッチコピーを付けて売り場に出せば売れるかも〜,なんて思ったのだった.(^o^)

今年も黄色地に黒いラインが入る「タイガーアイ」という品種が欲しいと思っていたが,この品種は発芽が遅いそうでまだ未入荷だった.品種によって発芽温度が異なる模様.という訳でこれは来月仕入れることにした.

写真:ズラリと並んだビオラ,新色ローズ・タイガー,新色デルフト・ブルー
  

温室内でブルーが目立っていたのはルリマツリモドキ.耐寒性は強いようだがマイナス15度はどうだろう?と微妙だったが,とりあえず実験的に購入した.後で調べたらどうやら大丈夫のようだ.もっとも乾寒風に吹きさらされるところだとチビ苗には過酷だろうから,植え場所は考慮してあげよう.

写真:ルリマツリモドキ
 

温室内でウロウロした後は自然文化園へ.標高1300mほどだけど紅葉が始まっている.中には真っ赤に色づいた葉もある.日当たりが良く1日の気温の差が大きいのだろう.

写真:紅葉始まる
  

湿性花園の遊歩道を歩くと咲き進んだトリカブト,咲き始めのリンドウ,夏の名残のエンビセンノウ,葉が紅葉して名残の花を咲かせるフウロソウなどが見られた.

写真:
   

マムシグサの実やナナカマドの実が赤く色づいて秋を感じる.

写真:マムシグサ,ナナカマド
 

横谷観音・紅葉偵察(10/08)
原村で紅葉していたということは,さらに200mほど標高の高い横谷観音付近はどうだろう?と思い,行ってみることに.ここは紅葉名所の一つで例年続々と観光バスも訪れるところ.

朝から出かけるので寒いかもと思い熱い紅茶をポットにいれ,厚着していざ出陣.結果は拍子抜け.紅葉は始まったところで,原村の方が真っ赤に色づいているものがあったほど.この分だとあと10日はかかりそう.

写真:横谷観音付近の紅葉具合
  

それより凄かったのはイチイの木.みっちり赤い実を付けているものがあった.葉が黄変して大丈夫?と心配になるほどだった.

写真:イチイ
 

尖石縄文まつり'11(10/09)
近所の尖石縄文考古館とその周辺で毎年秋に行われる恒例のお祭.10/8〜9開催で,この期間考古館は無料開館となる.家に居ても朝早くからパンパンパン!と爆竹の音が響き,スピーカーから話し声が聞こえ,太鼓の音も聞こえてざわざわした雰囲気が伝わってくる.散歩ついでに覗いてみることに.

広場の特設ステージでは,代わる代わる太鼓や笛の演奏が行われていた.幼い子のグループもあれば大学生のグループもある.さすがに大学生レベルとなるとなかなかうまい.

広場では熱気球体験コーナーがあり,昼前までには家族連れなどずらりと順番待ちの列が出来ていた.ブタの丸焼きコーナーはコンパネで仕切られた中で火を焚きブタ一頭を丸ごとクルクル回しながら焼く.今年はちゃんと業者が来ていて手際良くハンドルを回していたのでうまく焼けたことだろう.昨年はプロではない人たちが四苦八苦しているようだったから.

写真:縄文まつり遠景,人気の熱気球搭乗体験,ブタの丸焼きコーナー
  

フリーマーケットのエリアでは,株式会社フリーマーケットではない素人のホントの意味のフリーマーケットが行われ,家庭の不要品や古着などを与えられたスペースに並べていて,お客も一つずつ手に取り出品者と話をしながら品定めしていた.一部業者が居たかもしれないが,今年は小規模に感じた.

また,縄文火祭りという名の土器の野焼きコーナーも健在だった.ここでは考古館で展示されているホンモノに似せた土器が焼かれている.

写真:フリーマーケット・コーナー,土器の野焼きコーナー
 

写真:国宝・縄文のビーナス,野焼きコーナーのビーナスたち
 

縄文食(どんぐり粉入りのパンとか…)を試食する縄文まつりならではのコーナーもあったが,いわゆる普通のお祭でも見られる出店もあり,青空のもと地元の人達は非日常のひとときを楽しんでいるようだった.平和な風景が拡がっていた.

フィオーレ小淵沢〜八ヶ岳薬用植物園(10/10)
晴天続きの三連休最終日はダリアがたくさん咲いているフィオーレ小淵沢を覗いてみることにした.予想通り色とりどりのダリアが咲いていたが,コスモスは最盛期を過ぎた感じだった.

写真:ダリアやコスモス
 

  

 

サーッと園内を歩いてその後,八ヶ岳薬用植物園へ.栗はどうなったか気になっていたのだが,「栗拾い体験 本日の受付は終了しました」と看板があり,栗園へは入れないようロープが張られていた.10月だから栗拾いはもう終わったのだろう…と思ったが,逆にまだ開催していることをほのめかすような謎の看板だった.

園内は花というより秋の実のシーズン.真っ赤なクコ,アキグミ,ナナカマドの実などが青空に映えていた.

写真:クコ
 

写真:ナナカマド
 

写真:アキグミ
 

果樹のコーナーではアケビがパカッと口を開き,カリンもたくさんの実をつけていた.

写真:アケビとそのアップ,カリン
  

花の方はピンク組のシュウメイギク,イヌサフランが満開.

写真:シュウメイギク,イヌサフランとそのアップ
  

ハーブコーナーではコバルトセージのブルー花が満開.薬草コーナーではエビスグサの大株で開花していた.

写真:コバルトセージ,エビスグサ
 

原村自然文化園(10/11)
原村自然文化園の湿性花壇に咲いていた花たちはどうなっただろう?と思い行ってみることにした.全体的には枯れ野原に近づいた感じがする.まだ名残で咲いているものもあったが,ほとんどは種を付け後は枯れるだけの状態となっていた.そんな中,今の時期に開花初登場なのがリンドウ.背が高いのだが花の重みで茎が倒れ,這いつくばるようにして咲いていた.

写真:枯れ野原の景色
 

写真:名残の花:フウロソウ仲間と今の花:トリカブト,別の場所に咲いていたマツムシソウ
  

写真:リンドウ
  

蓼科湖周辺と聖光寺(10/12)
蓼科湖の周囲にあるせせらぎにはバイカモが住んでいる.今年の夏はバイカモがほとんど見られなかった.単にタイミングが悪かっただけなのか,それとも異常気象で花付きが悪かったのか.最低気温がヒトケタ台となっている秋には咲くはず無い…と思っていたが,実際に見ると1輪だけ咲いていて驚いた.狂い咲きなのかな.

写真:季節外れのバイカモ


蓼科湖周辺では紅葉が進み,シュウメイギクがたくさん咲いていた.

写真:紅葉とシュウメイギク
  

桜の名所・聖光寺にもまわってみた.境内はドウダンツツジなどが色づいて赤くなっていた.ここは夏場にシデシャジンが見られる場所だが,今年はイベントのためタイミング悪く草刈りされてしまった.そのため花は見られずだった…はずだが,植え込みの中からニョキッと種が出ているところを見ると,知らないうちに咲いたようだ.ともあれ無事が確認できて良かった.

写真:聖光寺境内
  

写真:シデシャジンの種


蓼科ハーバルノート(10/13)
近所の散歩としては遠出の蓼科ハーバルノートへ.無料の温かいサービスティ(ハーブティ)があるのが嬉しい.

写真:ハーバルノートと庭の一部
  

ずいぶん昔から居るハーバル・キャット,スギナ君はストーブのそばのバスケットでくつろいでいた.御年15歳くらい?若かりし頃は店先に出て,お客さんに可愛がられて愛想を振りまいていたが,今はすっかりおじいちゃん猫となりのんびり暮らしているようだ.

写真:スギナ君
 

ハーバルノートからの帰り道,ヤマラッキョウが咲いているのを見つけた.

写真:ヤマラッキョウ


おぎはら植物園(10/18)
このところ晴天続き.上田市にある「おぎはら植物園」へ行ってみることに.ついでに上田城跡公園へ寄り,近所を散策中見つけたパン屋さんでパンを購入,ベンチでランチ.青空の下で食べるのは気持ち良い.

写真:上田城跡公園
  

その後おぎはら植物園へ.ハウスが何棟も見えておりこれは凄いと思ったが,お客が自由に見られる売り場のハウスは2棟だけ.ビオラやセージ類など外にも苗がずらりと並んでいた.ここは楽天市場にも出店しており,私もお世話になったことがある.しっかりした苗が届いて好印象だった.

写真:おぎはら植物園入り口と外置きの苗
  

写真:外置きビオラ苗とハウス内部:壁一面に植物の写真・名前・栽培方法のラベルがズラリと貼られていた,シクラメン苗
  

ネットで調べて入手したい苗をメモして行ったところ,売り場ハウスには無いものがあった.そこで店のスタッフに尋ねたところ,別のハウス(関係者以外立ち入り禁止のハウス)にあるとのことで,メモを渡して持ってきてもらった.

写真:別のハウスから持ってきてもらったシモツケ類(黄金シモツケ・レインボー,黄金シモツケ・ライムマウンド,ミツバシモツケ)
  

横谷観音・紅葉Part2(10/19)
10日ほど前に行ったところだが,そろそろ紅葉も進んだかなと期待して,再度横谷観音方面へ行ってみた.9時過ぎだったので駐車場には数台先客が来ていたが楽に停めることが出来た.しばらくしたら次から次へと車(バスも含む)がやって来て,駐車場はあっと言う間に満杯になり,路上駐車の列が出来ていた.

紅葉は徐々に進み,ようやく紅葉の名所,観光地らしくなってきていた.

写真:横谷観音付近の紅葉
  

  

八ヶ岳薬用植物園〜フィオーレ小淵沢(10/21)
曇り空だったが,散歩がてら今回滞在二度目の薬用植物園へ.イチョウが色づき始めていた.薬草園ではデルフィニウムもジギタリスも1株ずつ,あらぬ方向を向いて咲いていた.やむなくジギタリスは横顔,デルフィニウムは後ろ姿を撮影.

写真:イチョウ,デルフィニウム,ジギタリス
  

アワコガネギクは黄色の小花を咲かせ,ヒマはつぼみ・花・種と何でもありの状態で,サンザシは真っ赤な実を実らせていた.

写真:アワコガネギク,ヒマ,サンザシ
  

湿地コーナーでモミジガサが開花,果樹園ではカリン・マルメロ・コーナーで甘酸っぱい香りが漂い,ハーブ園ではコバルトセージのブルーがきれいだった.

写真:モミジガサ,カリン,コバルトセージ
  

温室内ではパイナップルセージやヘリオトロープが咲き,月桃が見事に大きくなっていた.さすが温室ならではの成長ぶりに感心.温度管理のため寒くなると温室は完全にシャットアウトされるが,今年はいつからだろう?

写真:パイナップルセージ,ヘリオトロープ,月桃
  

八ヶ岳薬用植物園を後にしてフィオーレ小淵沢(花パーク)へと向かった.ここでは前回同様ダリアが見事で見頃だった.昨年秋に地植えにされていたヘレボラスは大きく成長した株とショボくなった株と,植えられた場所によって様々な結果を見せてくれた.しっかりした株は来春が楽しみ.今年の春は期待を裏切られたが,来春はしっかりした花を咲かせて欲しい.

写真:様々なダリアの競演
  

  

ここかしこでカラミンサが咲き,湿地帯の池ではアイガモが飼われている.

写真:カラミンサが見事,アイガモたち
 

蓼科湖周辺と聖光寺 Part2(10/23)
今回滞在中二度目の蓼科湖散策.紅葉が一層進み,中には燃えるようなモミジがあって見事だった.これで青空だったら…と思うとちょっと残念.

写真:蓼科湖周辺の紅葉
  

 

ついでに聖光寺へも行ってみた.その後,シデシャジンの種がどうなっているか気になっていたのだが,結局見つけることが出来なかった.きっと誰かに取られたのだろう.蓼科湖側の駐車場へ戻ろうとしている時,3頭の鹿が突然境内に入ってきて,周囲を駆け回ったかと思うとまた外へ出て山の方へ走り去って行った.鹿は時々見かけるのでさほど驚かなかったが,まだ小さな身体だったので子鹿だったのだろう.その後鳴き声が一声聞こえた.

写真:聖光寺の紅葉
  

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