2009年度 T.smithii 栽培

2009/09 09/09 北バルコニーに置いていたsmithiiのビニールポット(2009/05/29播き)を引っ繰り返して大鉢に埋め,給水装置をセット.これ以外にもポリフィラムなど未発芽のビニールポットを同様に引っ繰り返しておいた.


09/20 蓼科にてT.smithiiの種まき・水やり開始.種まきポットは二手に分けて,一つは蓼科に置いたままにし,もう一つは大阪に連れて帰ることにした.各ポット種の数はそれぞれ36個ずつ.

写真:Chiltern Seedsから入手したT.smithiiの種(9/2撮影)
 

09/25 大阪に戻り1つ発芽を確認.葉の様子からどう見てもポリフィラムではないのでsmithiiと断定.まるみを帯びた葉で,昔育てていたtuberosumに似ている感じ.

写真:smithii1号
2009/10 10/03 1つsmithii(9/20播きの分)の発芽を確認,鉢上げ実施.

写真:あらたに発芽したsmithii2号と先に発芽していた1号
 

10/16 蓼科に置いていたsmithiiの種まきポットからは発芽無し.温度が低すぎるのかもしれず,帰阪の際に連れて帰ることにした.

10/19 現在のsmithii2株の様子.smithii2号はしっかり葉が展開し始めている.葉の形は独特で面白い.

写真:smithii1,2号
 
2009/11 11/03 現在のsmithiiの様子.先月下旬に南ベランダへ移動.ペットボトル給水器を設置しているが,時々水やりもしている.

写真:smithii1,2号
 

先月26日にsmithiiの水挿し実験を開始.1号の茎をカットして水につけている.よ〜く見ると…節のところに根のようなものが見えているが,本当の根かな?だとすれば嬉しい.なかなか発芽しないので,1株でも増えてくれれば助かる.

写真:smithii水挿し実験 左:全体像,右:根?
 

11/04 smithii1号をよく見ると脇芽の方で花芽が数個付いていた.初めて栽培する品種なので生育サイクルはよく分かっていないが,まさか秋に花芽が付くとは思っていなかった.北バルコニーから南ベランダに移動して急に暖かくなったので,春と勘違いしたのかな?(~_~;)

写真:smithii1号花芽
  

11/14 smithii1号花芽その後.既に距が見えている.また,smithii2号にも花芽が付いている.この品種のライフ・サイクルはいったいどうなっているのだろう?両方とも単に狂い咲きなのか,それとも秋に花を咲かせるものか??この品種はイモが出来ないらしいので,花が咲いた後どうなるかも興味津々.

写真:smithii1号全体像と花芽(11/11撮影)
 

写真:smithii2号全体像と花芽(11/11撮影)
 

11/27 11/22に蓼科から帰ってきたら形勢逆転,smithii1号より2号の花芽の方がふくらんでいた.smithii2号花芽はすっかり赤くなっており,今か今かと開花を待っているのだが,じらされている感じ.花芽を見ていると,いったんグッと首を伸ばして上を向き,徐々に水平を向いて今度は下向きになっている.この首振り運動は何かを意味しているのだろうか.

写真:smithii2号(24,25日撮影)
  

写真:smithii2号花芽(26,27日撮影)
 

写真:smithii1,2号の全体像と1号の花芽
  

11/30 ようやくsmithii2号が開花.昨日午後から開花の気配があり,花芽の先が割れてきて半分口を開いた状態になっていたが,今朝見ると完全に開いていた.smithii1号の方も花芽が色づいてきた.

写真:smithii1,2号の全体像
 

smithiiの花は花弁の縁がギザギザになっており,花色は明るいオレンジ.ガクと距は赤いが,ガクの先端部は薄緑色をしている.

写真:smithii2号の花・アップ
  
2009/12 12/06 現在のsmithiiの様子.smithii2号は開花が進み,現在3個の花がさいている.花弁は5枚で上部2枚の花弁には赤スジがあるが,下部3枚にはスジ無し.花色は日が経つに連れやや薄くなってきている.

この時期に咲くものかと首をひねっていたが,参考書によると「花は一年を通じて咲く.イモは作らない」とのこと.

写真:smithii2号全体像と1番花,2番花
  

smithii1号も花芽がふくらんできているが,こちらは距が2本の花芽がある.以前距が2本の花はレピドムで見られた.

写真:smithii1号全体像と2本の距
 

12/10 現在のsmithiiの様子.

2号は花が咲き進み4つの花が開花中.1号もついに一番花が開花.先に開花した2号の一番花は既に終わった.この2号の特徴は,花が終わるにつれ次第に花が上向きになり,最後には完全に上向きになること.その後どうなるか興味津々.二番花も終わりに近づいたようで,だんだん上を向きつつある.

写真:smithii2号(完全に上を向いて閉じているのが一番花,やや上を向いているのは二番花)
 

1号は一番花が開花.この花は距が2つありツノみたい.他にもいくつか距が2個の花芽がある.1号も花が終わる時には上を向くのだろうか?もしそうだとすればこの品種の花の咲き方の特徴になるのだろう.

写真:smithii1号
 

12/14 現在のsmithiiの様子.

.smithii1号データ
種まき    :2009/05/29
発芽確認  :2009/10/25
開花スタート:2009/12/8

smithii2号データ
種まき    :2009/09/20
発芽     :2009/10/03
開花スタート:2009/11/30

写真:smithii(12/13撮影)


12/24 現在のsmithiiの様子.だいぶ花が咲き進んで来た.既に終わった花は干からびた花弁が落ち,タネが宙に泳いでいる.この花,ずいぶん花粉の量が多いように思う.そのためか風で受粉?し,多かれ少なかれ花後には小さなタネが付いている.本当は花が終わったら見栄えの点でも株の体力温存のためにもカットした方が良いのだろうけど,経過観察のためそのままにしている.

葉の裏に点々が出来て葉が黄変するものが出てきた.こんなに低温なのにハダニか?原因がよく分からずそのままこれも経過観察中.

写真:smithii1,2号
 

写真:花粉の多い花と花後,そしてタネ
  
2010/01 01/01 現在のsmithiiの様子.

咲き終わった花は次々と種になっている.受粉率はかなり高く,ほぼ100発100中に近い.と言って,人工授粉はしておらず,ポリネーターのおかげと風のおかげか??と思っている.一度ポリネーターを見かけているが,これだけ受粉率が高いと不思議.花粉量はかなり多いので,風で花粉が舞って受粉する確率もあるように思う.

葉色がイマイチなのは体力不足かと思い,置き肥をしてみた.そしてたまに液肥を与えている.この株は花が咲き終わるにつれ,だんだん上向きになっていくのが面白い.よって種が出来るとあちこちに跳ねた格好となり,株としては何ともしまりのない姿になってしまう.

写真:smithii1,2号
 

咲いて数日経った花は花弁に花粉が落ちて粉っぽくなっている.中央部を覗くと種の原型が出来ているのが見える.一番最初に出来た種は少し色づいてきた.種の付き方は,3個とも同じ大きさできれいに出来ている場合と,大1個と小2個(または1個)のセットなど様々.

写真:花の内部と種(写真・中央は一番最初に付いた種)
  

01/11 現在のsmithiiの様子.1号はたくさん種が付いたが,小さなものは株の体力温存のためカットした.また,終わりかけの花もカットしたのでずいぶん花数が少なくなってしまった.2号の方はまだ頑張って咲いている.青花ナスタやレピドム同様,開花して日が経つと花弁の色はだんだん薄れ,オレンジ色が抜けていって白っぽくなってくる.

写真:smithii1,2号
 

01/20 現在のsmithiiの様子.今まで終わった花を残していたが,終わりかけにになったらカットするように方針変更.

写真:smithii1,2号
 

1/15に両株とも種を採種.採種した種は時期が時期だけにまだ青く,発芽能力があるかどうかは分からない.とりあえずティッシュに包んで乾燥させている.ついでに栽培中のカナリー・クリーパーと葉の比較を行った.下の画像(右)で,上段と真ん中の葉はそれぞれsmithii1号,2号,一番下段の葉はカナリー・クリーパー.smithiiの方が葉の先端がやや尖っており,カナリー・クリーパーは丸みを帯びている.ただ,小さな葉では区別がつかない.

写真:採種した種と葉の比較(1/15撮影)
 

01/31 smithiiたちの現在の様子.天気の良い日は日光浴させているが,夜間と天気の悪い日は南ベランダの無加温・温室で過ごしている.温度低下を防ぐことによって葉の色が良くなってきた.花をすべてカットした1号では,新しい花が咲き始めている.2号は次々と咲いて,終わった花はカットしている.

写真:無加温温室内のsmithii1,2号
 
2010/02 02/04 寒い立春.無加温・温室で過ごすsmithiiたちは,機嫌良くしている.日中は外気に当てているが夜間は温室のフタを閉めて冷気をシャットアウトしている効果か,再び花芽が育ってきている.

写真:smithii1,2号
 

02/17 2月に入ってすっきり晴れず天気の悪い日が多い.気温は高かったり低かったり相変わらず乱高下.そんな中,smithii1号,2号ともに葉の数を増やしている.1号はまた花数が増えてきたが2号の方は小休止.

写真:smithii1,2号
 

02/24 今週はやけに気温が高く今日は最高気温が20度を超えた.とても2月とは思えない陽気.smithiiたちも相変わらず元気に咲き続けている.昨年から咲いているのでずいぶん息の長い花だと言えよう.今までは花が終われば即カットしていたが,今後はそのままにして採種に挑戦してみようと思う.現在,ベランダにはたくさんの蜂さんが来ているが,他のトロパと交雑するだろうか??それも興味ある課題の一つ.

写真:smithii1,2号
 
2010/03 03/04 昨年からずっと咲き続けているsmithiiたち.暖かくなるにつれ葉もかなり茂ってきた.種もいくつか付いている.

写真:smithii1号,smithii2号と後ろはカナリー・クリーパー(3/3撮影)
 

写真:踊る?種(3/4撮影)


03/08 3/1に北バルコニーで1つ発芽を確認.大鉢に埋めていた種(2009/5/29に種まき)なので,1年近くかかって発芽したことになる.ポットに上げてsmithii3号が誕生.1号,2号は相変わらず咲き続けている.

写真:smithii3号(左から3/1,3/8撮影)
 

写真:smithii1,2号
 

03/14 南ベランダに置いていた種まきポットから1つ発芽.これは昨年9/20に種を播いたもので,smithii4号の誕生.

写真:smithii4号と先に発芽した3号
 

写真:smithii1,2号
 

03/29 現在のsmithiiたちの様子.3/22にsmithii1号からタネを採種.3号はググッと成長し,あらたに発芽した4号と5号は3/19ポット上げ.

写真:採種したsmithii1号のタネ(3/22撮影)


写真:smithii1,2号(3/28撮影)
 

写真:smithii3,4,5号(3/27撮影)
  
2010/04 04/07 現在のsmithiiたちの様子.smithii1,2号はまだ頑張って咲いている.そろそろ葉色が悪くなってきたこともあり,土を替えるべく4/4にスリット5号鉢→6号鉢に植え替え.

4/5にsmithii1号の種を採種.先に採種していた種は黒くなっていた.

写真:smithii1,2号,1号の種(4/5撮影)
  

あらたな発芽は見られない.先月発芽した3〜5号は順調に成育中.

写真:smithii3,4,5号(4/7撮影)
  

04/12 数日前に種まきポットから1つ発芽を確認,本日ポリポット植えとなり,smithii6号が誕生.

写真:smithii6号(左は種まきポットで発芽確認したところ,右はポリポットに鉢上げしたところ)
 

04/22 現在の様子.

写真:smithii1,2,3号
  

04/24 現在の様子.あらたに7号が誕生.これはChilefloraの種を10/02/21に播いたもの.ちなみに6号は萎れてしまい没.

写真:smithii3,7号
 

04/27 蓼科滞在準備でsmithii1,2号に給水装置をセット.smithii1号はいったん花がお休みしているが,まだ花芽は残っており,同時に種も付いている状態.2号は盛んに開花中.smithii3〜7号は蓼科へ連れて行くことにした.

写真:smithii1号と種
  

写真:smithii2号
 
2010/05 05/01 蓼科に連れてきたsmithiiたちの様子.未練がましく6号も持ってきたがやはりダメだった.

写真:smithii3,4号
 

写真:smithii5,7号
 

この後,4号は花友さんのところへお嫁入り.手元に3,5,7号が残った.

05/08 7号を除き,スリットポットに定植し地面に鉢底を埋める.周囲と株元は落ち葉布団でおおった.

写真:smithii3,5,7号
  

05/13 smithii3号には花芽があって少し赤く色づいてきた.

写真:smithii3号と花芽
 

7号も他の株同様にスリットポット植えにし地面に鉢底を埋めた.

写真:5号,7号
 
2010/06  06/03 smithiiたちはハモグリバエの被害はあるものの,無事に過ごしている.3号は盛んに開花中.5,7号はしっかり葉が茂ってきた.

写真:smithii3号(6/3,4,5撮影)
  

写真:smithii5,7号(6/3撮影)
 

06/11  5,7号にもオベリスク支柱を設置.

写真:smithii5,7号
 

06/14 3号はまだ盛んに咲いている.

写真:smithii3,5,7号
  

06/19 各株とも茎が伸び,支柱を上っていこうとしている.

写真:smithii3,5,7号
  
 2010/07 07/16  蓼科入りして見ると,各株とも支柱のてっぺんまで茎が伸び,葉も茂って元気そう.誘引していないので伸びた茎が複雑に絡まり,隣同士の3号と5号は手を繋いだ状態になっていた.ほどくのが大変.

写真:smithii7,3,5号


07/20 3号は開花が続き,5号も開花し始めている.

写真:smithii7と3号,3号,5号
  

07/22 7号も開花.大阪から連れてきたsmithii1,2号は地植えに.

写真:smithii3,5,7号
  

写真:smithii1,2号
 
2010/08 08/08 梅雨明けしてから7月下旬は猛烈な暑さだった.smithiiらもダメージを受けて葉が減ってしまった.

写真:smithii3と5号,5号
 

08/11 葉は減ったものの,各株ともポツポツと開花は続いている.smithii1号は無事だったが,2号は消えてしまった.

写真:smithii3,5,7号
   

写真:smithii1号


08/20 暑さにめげずにポツリポツリと開花し続けているsmithiiたち.この夏は異様に暑く,30度を超える真夏日が何日も続く異常事態だった.軽井沢ですら30度を超える日々が続いたようだ.データの無いsmithiiらはどうなるかと思ったが,意外と暑さのわりにsmithiiたちは適応範囲が広く驚かされた.

写真:smithii3,5,7号
  

写真:smithii1号
2010/09 09/05 夏場のダメージは大きかったが,株の生命を脅かすほどではなく,消滅したのは2号だけで後は無事だった.1号には全然花が付いていないが,3,5,7号はポツポツと開花中.

写真:smithii3,5,7号
  

と,スタートから1年.そろそろ2010年度のトロパ・シーズンが始まるので2009年度の記録はここで終わりとする.
総括   smithiiはイモは出来ないが,環境さえ合えば通年栽培出来る事が分かった.自生地のコロンビアでは年間平均して気温は14度でほぼ一定(一日の気温差はかなりある)とのことで,そこでも通年咲いているそうだから納得のいく結果だった.

日本の場合四季があるので気温はフラットにはなり得ないが,冬の寒い時期(大阪でマイナス3,4度)から夏の暑い時期(蓼科で30度)まで,よく耐えてくれたと思う.蓼科では熱帯夜になることがないので,それも良かったのかもしれない.熱帯夜が続くような場合は株がもっと弱っただろう.

オレンジ色の小花は元気をくれる.発芽に関してはまだまだ分からないことが多いが,秋まきでスムーズに発芽してくれた場合は,冬の彩りにはちょうど良いだろう.