マムシグサの不思議な生態


秋に真っ赤な実を付けるマムシグサ.サトイモの仲間.フタ付きのあまり可愛くない花(失礼!)で特に興味は無かったけれど,たまたま読んだ本「草花のふしぎ世界探検」(ピッキオ編著,岩波ジュニア新書)でこの植物が気になる存在に….

というのも,マムシグサは毎年成長具合に応じて「性転換」するんだそうです.生育に適した環境で大きく育つと雌株に,そうでない場合は雄株になる!しかも3年間にわたり約100株を追跡調査した結果,
雄株→雌株雌株→雄株と両ケースに変化する場合があったそうです.(すごいっ!) 

雄花と雌花があることすら知らなかった私は「へぇ〜!」と感心すると同時に,こんな身近に観察素材があるからには,花を見かけたら「アンタ雄?それとも雌?」と覗き見せずにはおられなくなりました.(^◇^)


蓼科高原だより:その17(2002/06/01〜02/06/14)

マムシグサ
マムシグサ
散歩中に出会ったマムシグサ.

この時はまだ何の興味も持っていなかったけど,とにかく妙な花があるので写真にはおさめていた模様.(^^; 

蓼科高原だより:その41(2005/07/15〜05/07/22)

マムシグサの実
散歩中に出会ったマムシグサの実.もうすぐ赤く色づく. 

この時もまだ興味を持っていなかった.立派な実が成っているので写真におさめていた. 

蓼科高原だより:その44(2005/10/09〜05/10/25)

 マムシグサ開花
 ここで「草花のふしぎ世界探検」(ピッキオ編著,岩波ジュニア新書)と出会い,マムシグサの生態を知ることになります.
という訳で,今年一年,散歩しながらマムシグサを観察してきました.途中,草刈り機でグァーン!と一気に倒されて消えてしまったもの(~_~;),つい先日まで赤い実があって後日写真に納めようと思っていたらいつの間にか忽然と消えてしまったもの(-.-)等,様々な出来事もありましたが,まずは撮りためた写真を披露しようと思います.ただ,撮った写真は同一株を追跡したものではなく,何の脈絡もなく見つけた株を適当に撮っているだけですのであしからず.(^^;

マムシグサでも大きな株は50cm以上になります.前述の本によると,葉が10枚以上のものが花を咲かせるとか.散歩しながら開花した株の中身を覗いてみました.数本のマムシグサを覗いてみたところ,やはり小柄なマムシグサには雄が多かったです.花の基部にはブツブツとした突起があり,そこから花粉を出していました.また,大株に育った株の花を覗くと,将来実になるだろうと思われる緑色の粒々が見えていました.

マムシグサ開花(5/26撮影;左から2枚が雄株,3〜4枚目が雌株)
    

いつもと違う所を散歩していると,変わったマムシグサに出会いました.というのも葉が斑入りなのです.ここは株に近づけない場所だったので,花の雌雄は確認できませんでしたが,面白い葉だったので記念撮影しました.

写真:マムシグサ(5/27,斑入り葉は5/28撮影)
  

5月下旬に開花したマムシグサは,8月になると雌花の方が結実した姿を現します.そして9月には色づき始め,10月には真っ赤に色づきます.

写真:結実したマムシグサ(左から 8/11,9/23,10/13,10/13撮影)
   

10月半ばも過ぎると落ち葉が増え始め,あたりは紅葉の風景となります.そんな中,マムシグサの赤い実はひときわ目立ち,遠くからでも存在が分かります.下旬には最低気温も3度ほどになり,役目を終えてすっかり枯れてしまった雄株に出会いました.地上部は枯れるけど,地下で越冬します.さて来年はまた雄株になるんでしょうか,それとも雌株になるんでしょうか.

赤い実と枯れた雄株(10/23撮影)

  

蓼科高原だより:その45(2005/11/05〜05/11/11)

マムシグサ(05/11/10撮影)
散歩道に点々と存在していたマムシグサも茎は色が変わり,真っ赤な頭部だけがやけに目立っています.寒さでやられてしまった株は,茎が折れ重い頭が地面に落ちてしまっています.来年そこから発芽するかもしれません.