蓼科高原だより:その42(2005/08/05〜05/08/22)

ウバユリ
梅雨が明けてから8月にかけて,大阪では猛暑が続いていました.暑さから逃れようと蓼科にやってきましたが…気温は30度まで達しませんが,何故か蒸し暑い.まるで梅雨時のような蒸し暑さです.室内の湿度計を見ると70%.そりゃ,蒸し暑い訳だ,と納得してエアコンを入れました.ここ数日,この蒸し暑さが続いており,「高原の清々しさ」はいずこへ?と思ってしまいます.カラッとした暑さがウリの蓼科なのに,今年の夏はなんだか変です.

さて,散歩していてウバユリを見つけました.「ウバユリ」の「ウバ」は「乳母」の事だそうで,子が成長した暁(開花の頃)にはすっかり歯が抜けてしまう(下葉が枯れる)様子を表しているのだとか.このウバユリの茎は妙に太くて葉も大きく,花芽のまだ無い時期には「いったい何の植物だろう?」と思っていました.ちょうどマムシグサが咲いている付近に自生していた株を見つけ,経過を見守っていたのでした.下の左側の写真で立派な葉をご覧下さい.草姿はまるでバレリーナのようです.右側の写真はその3週間後の姿です.危うく草刈りされる運命は免れたようですが(周囲は草刈りされていたので),グングン成長した茎は倒されていました.ただ,てっぺんの部分がユリの花芽らしい姿になっています.パッと見では,この2つの写真は同じ植物とは思えません.

写真:経過を見守っていたウバユリ(左(全体像)は7/17撮影,中央(全体像)と右(花芽アップ)は8/7撮影)
  

ウバユリは,テッポウユリみたいに横向きに花が咲いています.花は純白ではなく,えんじ色の点々が入っています.これが実になるとまた面白い形になり,ドライフラワーとして使われるようです.下の写真は別の場所で見つけた開花株です.

写真:開花したウバユリ
   

八ヶ岳薬用植物園;ガイドツアー参加
お盆休みの期間中はどこへ行っても凄い人出だと思ったので,いつもの穴場「八ヶ岳薬用植物園」へお昼を食べがてら(って,食堂はありません.お弁当持参です)行ってみました.

到着した矢先に園内放送があり,13:30より薬草園無料ガイド・ツアーがあるとのこと.お天気も曇りがちでカンカン照りでは無かったし,お弁当を食べる時間も充分あったので参加してみる事にしました.

講師(須藤はじめ氏)の紹介があってから,まずは漢方薬の原料植物たちを見てまわりました.花は咲いていなかったけれど,マメ科のウラルカンゾウ(甘草)は,いかにも「マメ科」という姿でした.この植物,元々中国起源の物ですが,中国が砂漠防止策としてこの植物を使用するので輸出制限され,日本での漢方薬の原料供給に支障が出るため栽培化に向け研究中の植物なんだそうです.栽培化が軌道に乗るまでには10年ほどかかるのでは,というお話でした.というのも,この植物の生態についてはまだ詳しいことは分かっていないようで,栽培適地の選定から考えないといけないようです.とりあえずは乾燥地を好むそうですが,こんな話を聞くとついつい育ててみたくなってしまいます.(^o^)

また,セリ科のセンキュウは繊細な葉がセリ科らしく,こちらはたいがいの入浴剤に血行促進剤として入っているそうです.

写真:ウラルカンゾウ全体像と葉の先(マメ科らしいでしょ?),センキュウ
  

オタネニンジン(チョウセンニンジン)のコーナーでは,花が終わり実がなり始めているところでした.この植物は種まき後,芽出しの頃は葉が3枚で,成長すると5枚になるそうです.確かに大人の株は葉が5枚でしたが,新芽は3枚のようでした.今まで赤い実ばかり見ていましたが,こういう事はお話を聞かないとなかなか気づきませんね.

写真:オタネニンジン成長株,成長株の葉,新芽(雑草が多くて分かりにくいけど(-_-))
  

フジバカマはレッドデータブックにも載っている植物ですが,ここでは元気に茂っており,講師の方は「繁殖力は結構あるので,レッドデータブックに載っているのが不思議なくらい」とおっしゃってました.元々植えられていた株は血筋が定かでなかったそうで,彼が確たる品種のものをここに移植されたとのこと,確かにとても生命力にあふれて繁殖力旺盛に見えました.ちょうど花が咲く直前のようで,花芽がたくさん付いていました.

写真:フジバカマ全体像とその花芽
 

コガネバナは,名前だけ見れば「黄色の花?」と思ってしまいますが,花色はブルーです.シソ科らしい花の形をしています.
ちょうど花が見頃でキレイでした.生薬名は「オウゴン」です.こんなキレイな花だったら,庭にあっても良いかも…なんて思ってしまいました.

写真:コガネバナ全体像と花のアップ
 

嬉しかったのは,ブルーベリー園での試食です.これは講師と一緒でないと絶対に許されない行為ですから.(^o^) ただ,ここにはスズメバチが居るようで注意するように促されました.蜂に用心しながらも,ブルーベリー収穫は庭で鍛えているからお手の物,次々と美味しそうな実を選んではデザート代わりに頂きました.所々の木に「収穫量試験木」というような札がかかっていましたが,どんな実験をして収穫量の違いを調べるのか,すっかり聞くのを忘れていました.(←翌日になって,ふと疑問に思った.(^^;)ん〜,その時は食べるのに夢中だった…って事かな.

写真:ブルーベリー
 

他の果樹でもアーモンド,マルメロ,カリン,ブラックベリー等々,いろいろと実が成っていました.ブラックベリーも1つだけ実の試食をしました.

写真:アーモンド,マルメロ,カリン,ブラックベリー
   

また,アサクラザンショウのコーナーでは,講師が実を1つ採り果肉と種に分けてクイズが行われました.「普通,利用するのは実の外側の部分でしょうか,それとも種の部分でしょうか?」答えは実の外側の緑の部分.持っているだけで,サンショウ特有の香りが手に付きました.

写真:サンショウの実
 

約1時間半ほどの園内散策では,まだまだ面白い話題もありましたが,とても紹介しきれないのでこの辺にしておきます.この無料案内は,8月の毎週土曜日に1日3回行われているようです.初回は10:30から,2回目は13:30から,そして3回目が15:00だったか15:30だったか忘れましたが,管理事務所で当日申し込むようになっています.(8/14記)

いろんな話題
この夏は本当に不安定な天候です.午前中は比較的日が射す時もあるのですが,午後からは曇りがちで夕方近くに雨,というパターンがずっと続いていました.ここ数日は雨が少なく,やっと夏らしくなって来たかな?と思うものの,湿度が高くていけません.おかげでエアコン除湿運転の日が多いこと….最高気温も25度を下回る日が多く,これって大阪の最低気温(26〜27度)以下だと思うと妙な気分です.

それでも庭では毎日ブルーベリーの収穫がありました.約2週間のうちに580gを収穫,昨日ブルーベリー・ジャムを作りました.材料はブルーベリーの他に砂糖230g,レモン汁少々,ブランデー少量といった具合です.市販のジャムよりちょっと酸味があるけど,香りは抜群のジャムに仕上がりました.でも思ったより出来上がりが少なく,ジャムの大瓶1個と小瓶1/2個分にしかなりませんでした.

写真:ブルーベリーの収穫(左は8/5収穫,右は8/9収穫)
 

今年は果物の出来が良いようで,桃・ブドウ・プラム・プルーン・梨など,こちらに来てから様々な果物を楽しんでいます.高原野菜と共に,果物はこちらに来る楽しみでもあります.さて,今年の栗の出来はどうかな…と栗拾い出来る日を期待しています.

最初にレポートしたウバユリたちは,既に花が終わりました.散歩の途中,よく出会うのがギボウシの仲間です.ほとんどが薄紫の花ですが,たまに白花もあります.

写真:ギボウシ仲間(薄紫花と白花;どちらも8/11撮影)
 

ゲンノショウコもよく見かけるようになりました.フウロソウ仲間ですが花は非常に小さいです.花色はたいがい白ですが,たまにピンク色も見かけます.ヒルガオは最近(8/20前後)には見られなくなりましたが,ツリフネソウはまだよく見かけます.ネジバナは咲いている所へチェックしに行っていないので分かりませんが,そろそろ花は終わったかもしれません.

写真:ゲンノショウコ,ヒルガオ,ネジバナ,ツリフネソウ(8/11撮影)
   

ツリフネソウと言えば,黄色の花のキバナツリフネも咲いています.黄色花ではオオハンゴンソウがよく目立っています.車を走らせていると,山の道路脇などに群生しているのを見かけます.

写真:キバナツリフネ,オオハンゴンソウと花のアップ(8/17撮影)
  

オオハンゴンソウは背の高い植物ですが,ハンゴンソウという名の植物も背が高く2mほどのものもあります.名前は似ているけれど花の付き方は全然似ていません.

写真:ハンゴンソウと花のアップ(8/18撮影)
 

また,ここ2週間ほどの間に着実に季節は推移しているようで,ワレモコウが咲いていたり,アキアカネを発見したり,ススキの穂が開いてきたり…と秋の気配がし始めました.

写真:ワレモコウ,アキアカネ(8/18撮影),ススキ(8/20撮影)
  

庭で思わぬ植物を見つけました.ツルリンドウの自生です.花が咲いていなければ,雑草扱いで抜いてしまったかもしれません.名前のとおり,リンドウらしい花の形をしています.多年草で赤い実をつけるそうなので,しばらく観察を続けようと思っています.今は地面にのたうちまわっている状態ですが,観察しやすいように仕立ててみると良いかもしれません.

写真:ツルリンドウ(8/18撮影)
  


ツルリンドウ?ホソバノツルリンドウ?
昨日紹介したツルリンドウ,支柱で仕立ててみました.ところで,普通ツルリンドウと言えば,茎が赤っぽくて葉もしっかりした感じがするもののようですが,ウチの庭で咲いているものは茎も緑,葉の裏も緑でどうもツルリンドウとは特徴が異なるようです.つる性のリンドウにはホソバノツルリンドウと言うものもあるようで,こちらは茎も葉の裏も緑だそうです.ただ,気になるのは葉の細さです.ホソバノツルリンドウは名前の通り葉がすごく細く,ウチのは葉が丸みをおびていて,これもなんだか違うように思うのです.という事で,今は品種のよく分からない「つる性リンドウ」です.

写真:枯れ枝を支柱にした「つる性リンドウ」
 

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