蓼科高原だより:その54(2007/04/27〜07/05/07)

春に近づく
さすがに先日の雪は無くなりましたが,3日間不在中の最低気温はマイナス1度でまだ寒いです.それでも近所では梅や桜が咲き,スイセンが咲き,ヒヤシンスが咲き,一歩一歩春に近づいています.庭のミツバツツジもようやくツボミがふくらみ,開花を始めました.また先日咲き始めたヒヤシンスは全開で,ムスカリがニョキッと顔を出し,霜の心配をしながら地植えにしたナスタが鮮やかな朱色の花を咲かせていました.

写真:ミツバツツジふくらんだ花芽(4/27)と開花(4/28)
 

写真:ムスカリ,ヒヤシンス,朱色のナスタ(トム・サム・ミックス)
  

桜満開
散歩で尖石考古館から足を伸ばし,桜が楽しめるスポットまで行ってみました.車で通るとすぐ近所なんだけど,歩くと意外に距離があります.(当たり前)ちょうどいつも利用しているアイスクリーム屋さんの向かいが桜スポットです.桜の下でじっとしていると次々と鳥たちがやってきて蜜を吸っていました.小さなメジロが多かったのですが,時々大きなヒヨドリがやってきて「どかんかいっ!」とばかりにメジロを蹴散らしていました.

写真:桜,桜,桜(4/29)
  

このアイスクリーム屋さんは「ぺぱん」と言う店で,気温の高い日には店の前に多くの車が停まっています.「尖石考古館」から「縄文の湯」までの間にあり,春はシバザクラが見事です.季節ごとのアイスがあって楽しめます.昨年秋は和栗とシナモンの利いたアップルパイ(パイと名が付くけどアイスです)がマイ・ヒットでした.この日はサクラ&ラムレーズンをコーンで注文(2種;コーンorカップ350円)しました.ほんのりサクラの香りが楽しめました.

写真:アイスクリーム屋さんと桜(4/29)
 

八ヶ岳薬用植物園
昨年はちょうどこの頃神田の大糸桜が咲いていたので,今年はどうかな?と思い八ヶ岳薬用植物園へ行きがてら寄り道してみました.ところが…やはり暖冬のせいなのか,すっかり花は終わって葉桜になっていました.残念!でもこの樹木,たくさんの支柱に支えられていつ見ても痛々しい姿ではあります.

写真:葉桜になっていた神田の大糸桜(4/30)
 

横にはスイセン畑があります.ふと見ると紅一点のチューリップが.どこかで球根が混じったのでしょうか.なかなかご愛敬でした.

写真:スイセン畑から八ヶ岳を望む,紅一点のチューリップ(4/30)
 

さて,気を取り直して八ヶ岳薬用植物園へ向かいました.相変わらずノンビリした植物園で,のどかな風景を眺めながらお弁当タイムを楽しみました.園内のあちこちでムラサキケマン,スミレ,リンドウが咲いていました.

写真:ムラサキケマン,スミレ,リンドウ(4/30)
  

地面に淡い紫色の点々が見えるのでスミレかな?と思ってよく見るとリンドウも混じっている場所がありました.こうして見るとよく似た花色です.

写真:スミレとリンドウ(4/30)
  

園内ではアーモンドの濃いピンク花が満開できれいでした.

写真:アーモンドの花(4/30)


ウチの近所でもウグイスカグラはよく咲いていますが,どれも赤い花ばかりです.園内には白花のウグイスカグラ(クロミノウグイスカグラ)が咲いていました.

写真:ウグイスカグラ,クロミノウグイスカグラ,花のアップ(4/30)
  

和紙の原料となるミツマタはほとんど花が終わりかけでした.

写真:ミツマタと終わりかけの花(4/30)
 

クロモジの花はちょうど花盛りです.

写真:クロモジ(4/30)
  

アケビの花も咲いていました.淡い色の花と濃い花色のものがあります.ガーネットの花色のアケビは光に透かすととてもきれいに見えました.

写真:淡い花色のアケビ(左:アケビ,中央・右:ゴヨウアケビ)
  

写真:ガーネット色した花のアケビ(ミツバアケビ)
  

薬草園の方ではレンギョウが黄色の花を咲かせているくらいで,後はまだまだ…といったところです.スズランの花芽がぷっくりとして可愛かったです.

写真:薬草園風景,スズランの花芽
 

山菜コーナーではタラの芽が出始めていました.例によって「山菜を勝手に採取しないで」のかけ札がされていました.面白いことに今年は山菜コーナー以外のところ(結構離れているような所)で勝手に自生している?タラの芽をいくつか見かけました.

写真:山菜コーナーのタラの芽

日野春ハーブガーデン
日野春ハーブガーデンのHPで5/4に「品種説明と園内のご案内(無料)」がある事を知り,天気も良い事だし苗を仕入れがてら覗きに行きました.

案内ツアーが始まる前に苗を物色すべく販売用ハウス内をウロウロ….外は涼しくてもハウス内はいつも暑く感じます.白のヘリオトロープが満開で良い香りを漂わせていました.いつも前を通るのが楽しみな場所です.

写真:満開のヘリオトロープ(05/04)


案内は午前10時と午後2時の2回実施されるのですが,私たちは午後の部に参加,講師の圃場長・下司さんにお世話になりました.日頃は見られないハウス内を案内して頂きながらいろんなお話を聞かせて頂き,とても興味深かったです.

まずは販売用ハウスに植えられた植物たちのお話を伺いました.
ヘリオトロープと共にマヌカも満開でしたが,お話によると朝ハウスの扉を開ける前に外でヒヨドリが待機しているそうです.扉を開けた途端にハウス内に入りマヌカめがけて一直線.そう,蜜を吸うためです.サクラの花にもヒヨドリはよく来ていますが,マヌカがお好きとは知りませんでした.そういえばマヌカの蜂蜜というのがありましたっけ.

写真:マヌカの大株と花のアップ
 

ハウス内にある大株の植物たちは,約15〜6年前に植えられたものだそうで,樹高が高くなるものはバシバシ切っているそうです.四季咲きアカシアもその一つで,黄色い花がきれいに咲いていました.ハウスの隅の方に植えられているレモンユーカリやレモンバーベナもそのメンバーだそうです.また,セージ類も古いものが多く挿し木の親株になっているそうです.グレープセンテッド・セージも見事で樹高は軽く1mを超えていました.立派な根元を見てビックリ….

写真:グレープセンテッド・セージの大株と根元,花
  

今,流行っているのがホワイトセージ(サルビア・アピアナ)だそうです.私は名前すら知りませんでした.(~_~;) これは「癒しのセージ」とかで,ペット?にしている人もいるんだとか.葉を触って香りを確かめてみると,コモンセージに比べてかなり「薬臭くて強いにおい」というイメージでした.

写真:ホワイトセージ


次は販売ハウスを後にして,ふだんは見られない管理育苗用ハウスへ.まずはガウラを見せてもらいました.昔ここで「夕映え」という品種を購入したのを懐かしく思い出しました.これは最初白花で次第にピンクを帯びてきてだんだん赤くなる品種でした.その後交配したり枝変わりが出たりした結果様々な品種が誕生,今は「あかね」という品種が人気なんだそうです.これは「夕映え」の実生選抜から生まれた品種だそうで,中心部の赤みが強いです.

写真:ガウラ「あかね」
 

カタログを見ても多品種ぶりが分かるのですが,これだけの多品種を絶やさないよう維持・管理するのはさぞ大変な事でしょう.ものによっては挿し木だけでなく種から苗を作ったりするそうです.ずらりと並んだセルトレイが見事でした.穴の数が250ほどもあるセルトレイはほんの数センチ四方の苗床で,乾きやすく水管理が大変だという事でした.それでもある程度根が張ると茎を持ち上げただけで穴からスポッと抜けるので,移植作業が楽なんだそうです.ふと青花ナスタでもやってみようかと思いましたが…茎が絡まってダメだろうなぁ〜.(~_~;)

写真:ズラリと並んだセルトレイ


ハウスの外には映画「西の魔女が死んだ」(梨木香歩原作)の撮影用にと集められたハーブ苗たちがたくさん並んでいました.こんな需要もあるんだなぁと感心.(でもこれが初めてとか(^^;)

写真:映画撮影用に集められた苗たち




こちらはゼラニウムのハウス.ニオイゼラニウムの親株や増やされた株たちがたくさん並び,ピンクや赤の花がきれいに咲いていました.

写真:ニオイゼラニウムがズラリ
  

あるハウス内で温度計が吊り下げられていたので見てみると,現在の気温は30度になっていました.う〜ん,暑いハズ….(~_~;) 最低気温がどれくらいなのか知りたかったのですが,リセットされていたため確認できませんでした.残念.それでもお話によると冬場の最低気温は外でマイナス10度くらい(昔はマイナス15度くらいまで下がっていたとか),ハウス内は3度を保っているそうです.

写真:ハウス内の温度計とツリー・アネモネの苗
 

いっときローズマリーが大量に必要だったため,ハウス内にローズマリー苗ばかり並べて置いていたところアブラムシが大発生したとか.それでも無農薬栽培をうたっているため農薬は使えず,対処に苦労されたそうです.同じハウス内に様々な異なる植物を置いている方が害虫発生は抑えられる,というお話は面白かったです.きっと多様性が大事なんでしょう.

これだけの苗に水やりするだけでも大変だろうと思い,「自動灌水器なんかはどうなんですか?」と尋ねてみました.すると「あれはダメですね.どうしても水やりにムラが出てしまうのです.」との事.やはり水やりは苗の様子を観察しながら人が行うのが一番のようです.

他にも様々な事をお聞きしましたが,今回は生産者のご苦労が伺える貴重な案内ツアーでした.たまたま他のお客さんがおらず貸し切り状態だったので,マイペースでお話を伺えたのもラッキーでした.(^^)

聖光寺のサクラ満開
連休後半で予報では最後のお天気(翌日は雨)と言われた5/5,聖光寺(しょうこうじ)へ行ってみました.ちょうど桜祭りが開催されており,私たちの経験上いまだかつてない程の人出で賑わっていました.曇り空でしたが満開のサクラが見事でした.

写真:満開のサクラ(05/05)
 



春の庭
蓼科の春は1日が10日分ほどの季節の歩みのスピードです.あっと言う間にミツバツツジの花は盛りを過ぎて葉が展開し始め,シバザクラが咲き始め,ヤマブキも開花しそうになってきました.ヤマザクラもつぼみが膨らんで来ています.

写真:ミツバツツジ,シバザクラ,ヤマブキ(05/05)
  

ヒトリシズカも咲き始めました.大阪から持ってきた,今シーズン初栽培のナスタSt.Clementsもクリーム色の花を咲かせています.

写真:ヒトリシズカ,ナスタ(セント・クレメンツ)(05/05)
 

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